リフォームあれこれ

建築年数別のリフォーム

建物も年が経つにつれて劣化が始まります。どの時期に、どれくらい修理すればよいのかなど、建物の耐用年数を考慮したリフォームのタイミングと修繕のポイントを紹介します。
※お住まいの立地や構造など諸条件によって変わりますので、あくまでも目安として参考にしてください。

築5年〜10年

小さな部分の破損や汚れが目立ってきます。

修繕・改装など早めの対応が必要な時期です。

築5年~10年は、小さな部分の破損や汚れが目立ってくる時期です。例えば、外壁やベランダ・バルコニーの塗装など、外部からの影響を受けやすい部分の塗装がはがれてきます。室内においてはカーペットの汚れや減耗、住宅の機械設備では小型給湯器などの取り替えが必要になってきます。内装はもちろん、外装はそのまま放置しておくと、ひび割れ・亀裂の原因になりますので、「汚れている」と気づいた時に早めのメンテナンスをしておきましょう。この方が、住まい自体も長持ちします。

修繕のポイント

水まわり
シンクの汚れ・破損、小型給湯器など機器の故障、浴室ドア、木製敷居の腐食やゆがみ。水まわりの設備は比較的丈夫に作られていますが、浴室のドアなどの細かい部分は水しぶき、石鹸カスなどによって腐食してきます。またガステーブルなどのガス機器にも不具合が出てくる時期です。気づいたことは後回しにせずに、こまめに、また早めに対処しましょう。

屋内
カーペットの汚れや減耗、畳の日焼け、天井や壁(クロス)の汚れやはがれ。室内で目につきやすい汚れは、壁や天井の汚れ・畳の黄ばみなどです。壁や天井は、居室の中でもっとも広い面積を有する部分なので、汚れていると空間全体のイメージ・雰囲気が暗くなります。美しく快適な空間を保つためにも、壁・天井のメンテナンスには、細かい注意が必要です。

外観
外壁の汚れや塗装のはがれ、ベランダ・バルコニーの塗装のはがれ、雨樋のゆがみなど。住まいの外観は、雨風にさらされているため、自然と汚れ・はがれが多くなります。また、築5年~10年の住まいでは屋根瓦のズレや雨樋のゆがみ・破損が出てくる時期でもあります。放置しておくと、ひび割れや亀裂などより大きな破損につながるので、早めの修繕が必要です。

築10年〜15年

水まわりの設備に、故障や不調が出始める時期です。

築10年前後は、キッチン・トイレ・浴室などの水まわりの設備に、故障や不調が出始める時期です。特に浴室は、日常生活の中で最も使用頻度が高く湿気も多いため、傷みが大きいのが特徴です。住まい全体の修繕サイクルを30年と考えると、浴室の設備機器の更新は15年に1回の割合で必要になるといわれています。毎日使う場所だからこそ重点的に修繕する必要があります。この時期は、住まいの修繕において最も重要な時期です。この時期に修繕をするか、しないかでは建物の寿命がまったく違ってきます。浴室やリビングなど、毎日家族が利用する空間は傷みが早いので、この時期にしっかりと修繕しておきましょう。また外観は、建物全体の老朽化に直結するので、比較的こまめなケアが必要になります。

修繕のポイント

水まわり
浴室の床の腐食や、破損、汚れ、がたつき、浴室の設備の故障など。浴室は設備の取り替えだけでなく、リフォームする際には、将来のことを考えバリアフリー仕様にしておくと効率的です。

屋内
襖・障子・アルミサッシなどの汚れや破損、引っかかり。木製床の汚れや腐食、はく離など。主にリビングなど家族が集まる空間は、傷みが顕著に現れる時期です。特に床は、傷だけでなく凹凸ができる時期なので、小さいお子さんや高齢者のいるお宅では、早めに修繕しておくことが必要です。またドアやサッシも結露などによって傷みやすい時期ですので、気付いた時に取り替えておきましょう。

外観
屋根材や屋根瓦の破損、雨樋のサビ、ゆがみ、破損、外壁の亀裂など。屋根材が弱ってくる時期です。色褪せてくるだけでなく、破損に至る場合もありますので、築10年~15年を経過したら、見た目にあまり問題がなくても点検を行いましょう。屋根材を選ぶ際は、断熱性・遮音性・防火性・耐久性などに優れたものを選ぶようにします。

築15年〜20年

普段見えない部分の腐食、破損が出てくる時期です。

この時期になると、普段見えている部分だけでなく、見えない部分に腐食や破損が生じています。例えば、躯体の土台まわりが腐朽しはじめます。土台まわりの腐朽の原因は、水の侵食や湿気によるものと、シロアリや腐朽菌などの虫害が主な原因です。またキッチンやトイレなどの水まわりは、設備をはじめ、床や給排水管が破損する時期なので、大掛かりな修繕が必要になってきます。築20年前後は、見た目だけにとらわれず、今まで一度も手を入れなかった部分などの見直しが必要です。特に土台まわりの腐朽については、外壁のコーティング水切板、排水管からの水漏れ、コンクリート基礎の換気口がふさがれていないかなどを点検し、これらの原因を取り除くことが必要です。

修繕のポイント

水まわり
キッチン設備の故障、給排水管の破損、空間全体の老朽化、浴室設備の故障、給排水管の破損、空間全体の老朽化など。キッチン・トイレなどの水まわり全体の見直しを行いましょう。比較的人の目につきやすい場所にあるキッチンは、設備機器の調子だけでなく、壁紙やキッチン収納などの汚れが目立ってきているはずです。また見た目だけでなく、キッチンやトイレなどの給排水管が破損している場合もあり、その水漏れが土台の腐朽につながるため、設備機器のみならず全体の修繕が必要になります。

屋内
床の根太のズレ、玄関ドアや引き戸の腐朽・破損・引っかかりなど。屋内で最も損傷が激しいのは床材です。傷や凸凹ができている状態にとどまらず、床が軋んできます。これは床の根太がズレはじめてきていると考えられます。また20年を経過すると、高齢の家族も出てくるので、照明の明るさやスタイルの変更、引き戸の導入や手すりを付けるなどの対応も必要になってきます。

外観
屋根の破損・ズレ床下の腐朽、土台まわりの腐朽・シロアリ被害など。外観は全体的に老朽化している状態ですが、特に土台まわり・床下の腐朽が表れてきます。腐朽の進行状態によっては、土台の取り替えや柱の根継などが必要となります。

※土台まわり・床下・柱の修繕
○土台・・・防腐剤の塗布、注入(腐朽・食害が進行している場合は取り替え)。
○柱・・・根元部分に防腐剤の塗布、注入(腐朽・食害があれば根継)。
○床下・・・防虫対策として薬剤を散布し土壌改良をする。 防湿対策として、防湿シートを張る、防湿コンクリートを打つ、床下換気口の換気をよくする。

見た目の部分で目立つのは、金属箇所の錆びつきです。玄関ドアや引き戸などの金属箇所の破損の修繕だけでなく、今後の高齢者の生活を考慮したドアや引き戸に取り替えることも大切です。

築20年〜30年

増改築を検討するなど、見直しが必要な時期です。

住宅の耐用年数は、構造によって異なりますが、一般的に30年といわれています。税法上の耐用年数は、木造で22年、RC造で47年、鉄骨造だと19年~34年(壁の厚さによる違い)ですが、借地法上の借地権耐用年数は、一律で30年とされています。またこの時期は、家族構成やライフスタイルに大きな変化が表れます。間取りの変更や高齢者向けの検討も踏まえた、将来の家族のライフスタイルを見据えた増改築の検討、見直しが必要です。築30年ともなると、住宅の構造から見直さなくてはなりませんので、必然的に大規模なリフォーム(増改築)が必要になってきます。また将来の家族構成、高齢になった時の住みやすさを見据え、家族でしっかりとリフォームプランを話し合うことが大切です。

修繕のポイント

水まわり
キッチン、浴室、トイレの間取り・配置など、根本的な部分からの見直しが必要です。トイレは寝室の近く、キッチンと浴室は動線を考えて近くに配置するなど、これからの使い勝手を重視したリフォームが必要です。また水回りのリフォームは、高齢になった時を考えて、バリアフリー商品を取り入れていくと効率的です。

屋内

今後の暮らし方やライフスタイルを想定し、間取りなどの根本的な部分から見直してみましょう。室内全体の段差をなくして、廊下や間口を広めにとるなどのバリアフリー対応も考慮するようにします。また空き部屋となっている子供部屋などはリフォームして、クローゼットやプライベートルームに変えるのも良いでしょう。

外観
玄関まわり、庭などのエクステリアのあり方から考えることが必要です。独立型の2世帯住宅(別棟タイプ)を計画している場合は、中庭に屋根付きの中庭を設けたり、ウッドデッキを設けたりして、お互いの世帯が中庭を通じて、コミュニケーションがとれるような空間にすることも出来ます。
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